結露

氷が溶ける思ったより早く グラスの汗がテーブルに滲む 夏の夕暮れフィンガー二杯 ストレートは苦手だって言ったのに 煙と蜂蜜の味だよって あなたは笑ったけど 私にはただ喉の奥が熱くて もう少しだけ 夏のウイスキー 外側の結露 混ざらないもの同士が いちばん近くに あなたの残した水滴の輪を 指でなぞっている 空っぽのグラスに まだ匂いが残ってる バルコニーに忘れたグラス 半分だけ氷は溶けきって あの年の蝉は遅くまで鳴いてた それとも気づかなかっただけ 余韻がまだ口のなかに もう少しだけ 夏のウイスキー 外側の結露 混ざらないもの同士が いちばん近くに あなたの残した水滴の輪を 指でなぞっている 空っぽのグラスに まだ匂いが残ってる ウイスキーなんて 好きじゃなかった ただとなりに 座っていたかった 洗い流せないすべてのなかに あなたがまだいる 空っぽのグラスに まだ 結露が蒸発していく 何も言わずに交わしたように