同情 高潔な御職の為に呑みこむ 六文の足しになるのなら仇も愛でよう うんちょっと長船嬢さん今日はどこか 眺めのいい茶屋とか行かないか
「こんな日々を過ごしています」 売女のような横顔だろう 伝屍の人泣いている 泣いているよ 白けた目を瞑る
きっとこの世は蜃気楼 浅葱の裃には散る桜 ああ 時勢は流れてゆく 僕の袖を掠めてゆく
山粧う暮れに篝火は冴え 一太刀じゃどうにもこうにもならない 銀紙竹光 不義理、義理の知らぬ采配で 赤襟を自慢する それも好いわ
「こんな日々を過ごしたくて」 陰間のような掌だろう 兵たち夢のあと 夢のあと 羨望の目を瞑る
そっと駆け出す東海道 箱根の関所を東に逸れて ああ 時勢を追いかけて 僕は袖を濡らしてゆく
慣れぬものに慣れようとして 扇子腹に死ぬるような感情 ああ 身の丈も知らで生きてゆく やぶれかぶれでも
「こんな日々を過ごしています」 烈士のような足元だろう 許されれば離れてゆく 離れてゆく それでも進む僕は
だってかき垂れる雨模様 ワケない手蜀に灯る閏火 ああ後世に消えてゆく それでもいいとは思えない
なんて美し蜃気楼 浅葱の裃には散る桜 ああ 時勢は流れてゆく 僕の袖を掠めて 誰かの袖を濡らしてゆく