反転死滅のタイムライン

Lyrics: Gyr0 Music: Gyr0 1999年4月 ハワイの天文台で、 既知の天体物理学では説明のつかない、 極めて特異な円偏光が観測された。 2003年2月 太平洋に完璧な凪が発生。 それはあまりに不自然だったが、 観測員は報告せず眠りについた。 2003年5月 マリアナ海溝を探查していた無人探查機が、 ロストする直前、 正体不明の異常な熱水噴出を記録した。 2048年1月 宇宙の一部が観測できなくなる。 星の消滅に由来してはいないらしい。 誰かが幕を拡げたとされている。 2050年1月 海洋基礎生産を担うすべての植物プランクトンが、 光合成不全に陥り、海はその鮮やかさを失う。 2050年2月 世界中の海底地震計が、 生物活動に由来する微細な振動 「生物震」を確認できなくなる。 2050年3月 壊滅的な不漁。海水温の変化や乱獲が原因とされたが、 それは局地的に起きたわけではなかった。 2050年3月 反転触媒の拡散により、海の透明度が異常なレベルに上昇。 「クリスタルのようだ」と記した手記が残っている。 2050年4月 ソナ—はもう生き物を探知することができない。 魚群探知機は、ただ無慈悲に海底地形だけを映している。 2050年4月 魚がゲル状となって打ち上げられる。 それは腐敗ではない。触媒に触れ、鏡写しにされていた。 2050年4月 餌を失った海鳥が餓死する。 一部はゲル状の魚を食べており、死骸が陸地の至る所で発見された。 2050年4月 水が循環し、反転触媒が空に到達。 世界で初めて「反転水」を含んだ雨が観測された。 2050年4月 クロロフィルが反転し、森は化石のような灰色へと変わった。 地球の酸素濃度が、明確に低下し始める。 2050年4月 花は蜜を失い、もう受粉は行われない。 鳥のさえずりも虫の羽音も聞こえない。 不気味な春が訪れている。 2050年4月 人体への影響が顕在化。 自身の肉体が異物のように感じられる認識障害から始まり、 いずれ細胞が自己崩壊する。 2050年4月 地球が一つの閉鎖した生態系であることを人類は悟った。 あらゆる物理的障壁が無意味だった。 2050年5月 あらゆるインフラが正常に動作しなくなる。 電力、水道、通信、ガス、物流が連鎖的に停止した。 2050年5月 政府主導の避難計画が実施。 しかし、完璧な隔離を維持できず、 ほとんどが内部から崩壊した。 2050年5月 ある一定の高度を超えると、あらゆる機体が空中分解される。 どうやら、大気は第五の層で覆われているらしい。 2050年9月 最後まで機能していた国際放送局が、その電波を停止。 地球は、声のない静かな星になった。 2050年10月 大型陸上生物が絶滅。 この時代の地層は、崩壊した彼らの死骸による、奇妙な層で覆われている。 2050年11月 植物の根を失った大地は、土壌侵食に見舞われる。 反転水による雨と風が、構造物を土に還した。 2050年12月 極度乾燥地域の僅かな生物も、 大気の循環によって運ばれる触媒から逃れることはできなかった。 2051年1月 地球に生きる全ての生命が反転、あるいは崩壊し、 「左手型」の生態系が完全に消滅する。 これより地球は、新しい種を待つ。 また1から、生物学が始まります。